CCNAの合格点は? 試験改定後の傾向や勉強方法を解説
2022.04.27
これからネットワークエンジニアを目指そうと考えている方や、ネットワークエンジニアに興味を持っている方の中には、ネットワークエンジニアの仕事内容について知りたいと思う方もいるのではないでしょうか? この記事では、未経験者の方でもネットワークエンジニアの仕事内容についてイメージがつかめるように、ネットワークが作られて運用されるまでの仕事内容、さらにはネットワークエンジニアの求人で見かける内容からわかる具体的な仕事内容など、ネットワークエンジニアの仕事内容を詳細に紹介します。
ネットワークが業務で使われるまでには「要件定義」「設計」「構築」「運用」「保守」「監視」の6つのフェーズがあります。
ネットワークは「要件定義」「設計」「構築」のフェーズを経て作られ、「運用」のフェーズで動かします。ネットワークは動いて終わりではないので、障害が起これば「保守」を行って、常に異常がないか「監視」しています。
ここでは、各フェーズでネットワークエンジニアが具体的にどんな仕事をするのか紹介します。
最初はどんなネットワークにしたいか顧客からヒアリングすることから始まります。このフェーズでの最終目標は要件定義書を作成して顧客と合意することです。
「顧客が業務を行うためにどんなネットワーク機器を何台用意したらいいか?」「予算はどれくらいか?」「いつまでに必要か?」など要件をまとめていきます。要件をもとに機器選定や工数費用の見積もりを作成して、スケジュールなども決めていきます。
予算やスケジュールの見積もりのミスはプロジェクト全体に大きく影響するため、要件定義は全フェーズの中で最も重要です。また、要件定義書の作成には顧客の要件だけでなく、作業する側のリソースやスケジュール予算なども考慮して、双方の納得行く内容で要件定義を進めていかなければなりません。
設計は、要件定義で決まったことを実現するために設定する値を決める作業で、「基本設計」と「詳細設計」の2つに分かれます。
「基本設計」では、IPアドレスの設計から、ルーティング設計、障害設計、拡張設計など安定してネットワークを使うために、どのような構成や動きにするのかを決めます。
たとえば、「どのIPアドレスをどこにどれだけ割り当てるか?」「障害が起こったらどのような経路変更にするのか?」などネットワークの基本的な骨組みを作ります。
「詳細設計」では、基本設計で決めたことを実現するために、ネットワーク機器に設定する値を決めていきます。ネットワーク全体の構成や、どの機器にどのIPアドレスを割り当てるかを決めて、どことどこを通信させるかを決めます。そして、「障害時には正常な経路に切り替わるか?」など、どのような動きになるかも実機を使って検証します。
また、「新しい機器は電源投入後に正常に機器が起動できるか?」「起動後に異常なログがないか?」など機器単体で正常に機能しているか試験します。「ラックに設置する場合は、どこに設置したら綺麗な配線になるか?」「電源はどこに接続したら定格消費電力内に収まるか?」なども詳細設計で決めます。
設計では設定値を決める以外にも、基本設計書、詳細設計書、ネットワークを作るための手順書や試験表といった資料作成もかなり多くなります。
実際に動かす機器に設定を入れてケーブルを接続します。接続後は「ネットワークに障害がない場合の通信確認」と「ネットワークに障害が発生した場合の通信確認」の2つの試験が行われます。
また、この時点でネットワークにはPCやサーバーが接続され、正常に通信できない場合はネットワークエンジニアに連絡が入ります。ネットワークの構築作業は、ネットワークを使う各部署の人達とスケジュールを調整して、限られた時間内で作業を完了するように作業時間が組まれています。正常に通信できない場合は、作業時間内で迅速な復旧作業が求められます。
ネットワークは基本的に止まらないことを前提で作られます。「ネットワークに障害が発生した場合の通信確認」では「正常に新しい経路で通信ができるか?」「切り替わった瞬間の通信影響は設計通りになっているか?」など障害耐性が非常に重要になってきます。
構築が正常に完了すると、ネットワークは顧客に引き渡され、顧客の業務に合わせて運用していきます。
たとえば、業務でサーバーが追加されたため、新しく通信できるように設定を変更をしたり、逆にサーバーやPCなど接続される機器がなくなったため、不要な設定を削除したりと、運用では日々の業務に合わせて設定を変更していきます。
また、規模の大きな設定変更になると、再び「要件定義」や「設計」から始まることもあります。
ネットワークの保守は「障害時の復旧作業」と「メーカーの保守期間が切れた機器の交換作業」の2つに分かれます。
ネットワークは基本的に停止しないことを前提として作られているため、通信がまったくできなくなるような「障害時のネットワークの復旧作業」は迅速な対応が求められます。機器が故障してしまった場合は、保守業者へ連絡をしてできるだけ早く正常な機器に交換しなければなりません。
ネットワークの完全停止は業務の停止を意味するため、企業にとっては大きな機会損失になります。夜間であってもすぐに対応が必要です。
また、「メーカーの保守期間が切れた機器の交換作業」も保守の一部です。製品には販売されてからメーカーが部品を保持してメンテナンスするための最終保守日というものが定められています。最終保守日をEOL(End-of-Life)と言います。
最終保守日を過ぎて運用していると、障害が起こったときに同じ製品で機器を交換できなくなってしまうため、最終保守日になる前に新しく保守期間内の機器に交換する必要があります。
大きなグレードアップや仕様変更がある機器への置き換え作業は、場合によっては再び「設計」や「構築」から始まることもあります。
参考サイト:CISCO製品 - EoS,EoE,EoLなどの用語説明
ネットワークは異常がないか24時間365日監視されています。大規模なネットワークになるとNOC(ネットワーク・オペレーション・センター)にエンジニアが24時間のシフト制で常駐して、NMS(Network Management System)と呼ばれるシステムで正常にネットワークが動いているか機器のアラートをモニターで監視しています。
そのほかにも機器からのアラートをメールで受け取って監視するという方法もあります。監視と保守は常にセットです。重大な監視アラートを受け取ると、深夜に寝ているときでもネットワークエンジニアに電話が入って保守作業が必要になることもあります。
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ネットワークの仕事は大きく分けて「ネットワークをつくる仕事」と「ネットワークを維持する仕事」、ネットワークの構築や運用などをサポートするための「ネットワークに関する支援の仕事」の3つあります。
ここでは、ネットワークエンジニアの求人で見かける案件例をもとに、どんな仕事内容か紹介します。
ネットワークのフェーズでは「要件定義」「設計」「構築」に相当します。ネットワークをつくる場合は、規模の小さなものから大きなものまでさまざまです。規模が大きくなればネットワーク機器の種類も台数も増え、ネットワークの高度な知識と実装スキルが必要になります。
ルーター、スイッチ、FW(ファイア・ウォール)、LB(ロード・バランサー)などこれらの機器をうまく組み合わせて、設計・構築をしていかなければなりません。まずは、ネットワークをつくる仕事にはどんなものがあるか、そしてどんなことをする仕事か紹介します。
保守最終日であるEOL(End-of-Life)までに新しい機器に置き換える作業です。具体的には、元々動いていた機器と同じ設定を新しい機器に入れて置き換えます。
ただ、新しい機器になると、古い機種では入っていた設定が入らなかったり、機器の仕様が変更されて以前使えていた機能が使えなくなったりすることもあり、機器の仕様変更の調査、新しい機器に同じ設定を入れた場合に以前の機種と同じ動作をするかの検証も必要になります。
大幅な設定変更がない分、ネットワークの構築の中でも比較的軽い作業といえます。
新しくオフィスビルや病院が建つ場合は、必ずLANケーブルや光ケーブルの敷設作業があり、ネットワーク構築作業が発生します。ケーブル敷設の後は無線環境、インターネット環境を各フロアごとに設計と構築します。
オフィスビルなど各フロアを企業が借りる場合は、社内LANは各企業が管理するため、どこにケーブルを敷設するかという物理的な経路の設計がメインになります。
また、建物内のネットワークのケーブル敷設は、決まったところに敷設しないと建業法に反するので、各工事業者とのコミュニケーションがかなり重要になります。
企業が新しく支社を作って本社と接続したり、サーバーを増やしてシステムを大きくしたり、システムが新しく追加される場合はネットワークの増設作業があります。
増設の場合は動いているネットワークに新しいネットワークが接続されるため、元々動いているネットワークの拡張設計を理解する必要があります。たとえば、「IPアドレスはどんな順番で増やすのか?」「新しく通信させる場合の通信経路はどうするのか?」などネットワークを増設するための決まりを理解して設計しなければなりません。
そのほか、本社と支社の接続にはIPSecなどのVPNの設定が必須になります。また、近年ではリモートワークの増加により、本社と自宅をSSL-VPNで接続するためのネットワークを構築する業務もあります。SSL-VPNを構築する場合はPCにインストールした専用のVPNソフトとFWを連携する必要があります。
システムの引っ越しには必ずネットワークの設計が発生します。たとえば、同じ建物内でオフィスのフロアが移動する場合や、企業のシステムがあるデータセンター設備の移設作業などがあります。
同じ建物内でのオフィスの移動は簡単なセグメントの移動で済みますが、企業が使っているデータセンター設備の移設作業となると、機器の台数も種類も増えてネットワークの設計も複雑になり、ルーター、スイッチ、FW(ファイア・ウォール)、LB(ロード・バランサー)などほぼ一通りのネットワーク機器を扱うことになります。
企業の場合だとシステムを止めることが許されない場合が多いため、移設先に元々動いてるネットワークと同じネットワークを新しく作ってから既存のシステムを切り替えたり、元々動いているサーバーやネットワークのバックアップだけを移設先に移動して、一時的にバックアップに切り替えてから後で本番のシステムを移設して本番の機器に切り替えたりします。
通信量が多いネットワークではLB(ロード・バランサー)を使ったネットワークの負荷分散の設計という業務があります。
スマホのゲーム、動画を配信するサイト、SNSなどのように不特定多数の人がアクセスできる環境では、通信量の高さからサーバーに負荷がかかってアクセスできなくなるような状態は避けなければなりません。そのため、安定した通信を維持しながらサーバーへの負荷をいかに軽減するかがポイントになります。
具体的には、同じサーバーを複数台作っておいてアクセスがあった場合にLBを使って、どのような条件でどのサーバーにどれだけアクセスさせるかという設計をします。設計のためには、HTTP/HTTPSの通信の知識が必須になります。
また、LBはネットワークのアクセスをコントロールするための要となる機器のため、複数台用意しておく冗長構成は必須です。
安定して動くネットワークを作るためには、セキュリティの設計が負荷分散の設計と並んで重要です。
ネットワークのセキュリティを確保するためには、IPアドレスやポート番号によるアクセス制限に加えて、アプリケーションの通信のチェックも必要になります。セキュリティのためには、アプリケーションの通信をいかに必要最低限にするかがポイントです。
アプリケーションの通信をチェックできるネットワーク機器に「IPS」がありますが、近年では、IPSとFWが一体になった「UTM」を使う機会が増えています。
アプリケーション通信の種類はたくさんあるため、実装する場合は業務で使用する通信を一定期間キャプチャして通信の種類を洗い出したり、運用をしながらアプリケーションの通信を制限していくなどして業務で必要な通信を絞っていきます。
ネットワークのフェーズでは「運用」「保守」「監視」に相当します。ネットワークは作ったら必ず運用をして安定した状態を維持していかないといけません。
ネットワークはいつ、どのような障害になるかわかりません。ネットワークを業務で使っている人はネットワークは動いているのが当然と思って使っています。そのため、障害が発生したら迅速な対応で、早期復旧ができるように努める必要があります。ネットワークを維持する仕事はつくる仕事と違って、場合によっては俊敏な動作が求められるという特徴もあります。
ここでは、ネットワークの維持とは具体的にどんな仕事内容か紹介します。
NOC(ネットワーク・オペレーション・センター)に24時間のシフト制で常駐して、システムのアラートを監視する業務です。システムの監視アラートは重大度に応じてレベルが分けられています。
監視業務は監視アラートのレベルの応じてメール、チャット、電話などで周知をするのが主な仕事になります。ネットワークが使えなくなるような重大な監視アラートを検知した場合は、迅速な対応が求められ、保守への連絡、顧客への連絡など多数の部署への連絡が必要になります。
ネットワークの知識以外にも、メール、チャット、電話などコミュニケーション能力は必要になるでしょう。
ネットワークの運用は、業務の内容に応じて設定変更を行っていくのが主な仕事です。たとえば、サーバーを追加して通信ができるようにネットワーク機器の設定を変更したり、サーバーを撤去してネットワーク機器から不要な設定を削除したりします。そのほかにも、監視業務と同様に運用では監視アラートのチェックも行います。
監視業務と違って、運用はネットワークを業務で使っている時間に合わせて業務を行うため、ネットワークが止まるような突発的な障害がない限りは通常の9時から18時という勤務体系がほとんどです。
ネットワークを業務で使っている顧客の要件に合わせて設定を変更するため、サーバーなどを含めてシステム全体がどんな動きをしているのかを理解しておく必要もあります。
保守業務では監視業務と同様に、ネットワークが使えなくなった場合は各部署への連絡をして、機器にログインして原因調査を行って復旧します。監視はアラートのチェックや連絡がメインですが、運用になると障害復旧のために機器にログインして実際に手を動かして障害原因の調査を行う作業があります。
ユーザーからの障害対応依頼の一次受付窓口です。障害の連絡が入ると担当のエンジニアへ連絡を行うのが主な業務です。ユーザーにとっては障害対応を依頼する場合の最初の外部連絡先になります。
そのほかにも、夜間にネットワークの運用チームの代わりに一時的な受付だけを行うヘルプデスクや、社内SEという形でネットワークだけでなくPC周り周辺の障害対応を行うヘルプデスクもあります。社内SEの場合はネットワーク以外にもPC環境の知識も必要になります。
製品を販売している企業の場合は、製品のサポート窓口とヘルプデスクが兼任で障害対応の受付を行う場合がほとんどです。機器故障の障害対応では、保守業者の手配を行い各種調整します。
ネットワークをつくったり、維持したりする仕事を裏でささえるネットワークの仕事も存在します。
たとえば、ネットワーク機器を正しく設定しているのに動作に不具合があったり、ネットワークの規模が大きく複雑になって設計するも要素がたくさんあって業務が多忙になるなど、さまざまな問題に対処するために支援の業務があります。
また、支援業務はネットワークの各種問題解決を行う業務が全般です。設計から運用・保守まで一通り熟知した高度なネットワークスキルが必要になります。場合によっては、ネットワーク+αのスキルも必要になるということを理解しておきましょう。
製品を購入したユーザーから、製品に関する技術的な問い合わせに回答を行うのが主な業務です。たとえば、設定したが正しく動作しないとか、ある機能がうまく動作しないなど、製品に関する質問に対して調査して回答をします。
場合によっては、製品のソフトウェア上の不具合確認のために検証も行います。検証を行う場合は問題が起こっている環境を再現するために、ネットワーク以外にもサーバー構築を含めてアプリケーションの通信環境を構築する能力も必要になります。
そのほかにも、製品が故障した場合に交換を行うための障害対応も行います。たくさんの顧客を抱えていると、問い合わせもたくさんあるため、問題調査と障害対応で多忙になることも多々あります。
ネットワークの設計や構築で大規模なプロジェクトになると、専門の検証チームが存在することもあります。その場合は実際に構築する環境と同じネットワークを構築するところから始まって、各設計の要件が満たせるか動作検証を何度も繰り返します。
同じ環境を準備するので、検証のために設定する機器の数も種類もかなり膨大になります。また、検証結果は顧客への成果物として納品して、実際の作業承認のためにも使われます。
検証業務では設計したエンジニアの指示通りに動くだけでなく、設計の過程で生じる問題をいかに解決するか積極的に取り組む姿勢が必要になります。
ネットワークの構築を行う場合は、顧客の会社にエンジニアを常駐させて構築の支援を行うケースもあります。
顧客の会社にエンジニアが常駐することで、顧客は構築で何かあった場合は常駐するエンジニアと話せばよく、ネットワークを作る側の会社にとっては常駐したエンジニアから顧客の情報を得られるという両方のメリットがあります。
常駐したエンジニアは顧客とネットワークを作る会社の橋渡しになるため、プロジェクト全体の設計や要件を理解していることが前提で、技術スキル以外にもマネジメントスキルやコミュニケーション能力も必要になります。
「エンジニアになってIT業界で働きたい」
「エンジニアに興味はあるけど、種類が多すぎて自分に向いてる職種がわからない」
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同じネットワークエンジニアでも、会社の立ち位置が変われば仕事内容も異なります。また、会社の立ち位置はプロジェクトの契約内容で異なってきます。
契約内容によっては製品を販売するだけのベンダーの立ち位置にいたり、場合によってはベンダーとSIerを兼ねてネットワークつくる立ち位置になることもあります。
ここでは、それぞれの会社の立ち位置でネットワークエンジニアはどんな仕事をするのか紹介します。
メーカーとは製品を開発して発売する会社で、CiscoやJuniperなどのネットワーク機器をつくる会社のことです。
メーカーのネットワークエンジニアは、製品の不具合に対する問い合わせ対応をはじめ、製品が安定して運用されるための技術サポート全般を行うのが主な業務になります。そのほかにも、製品を幅広く有効に使ってもらうために、販売代理店契約を結んだ会社のネットワークエンジニア向けに技術研修も行います。
製品の技術サポートを行うネットワークエンジニアは、製品の不具合などを含めた技術問い合わせに対する調査します。製品が外国製品の場合は外国の本社への問い合わせのために英語でのやり取りが必須です。
また、メーカーのネットワークエンジニアは製品の深いところまで理解しておく必要があり、ネットワークの知識だけでなく製品に使われているハードウェアとソフトウェア全般の技術について幅広い知識が必要になります。
ベンダーとは、メーカーとパートナー契約を結んで、製品を代理で販売することができる会社のことです。メーカーから機器を買ってシステムを作る会社に機器を販売することから「リセラー」や「ディストリビューター」と呼ばれることもあります。
ベンダーのネットワークエンジニアは、製品を購入したユーザー向けに、製品の技術問い合わせのサポートと機器が故障した場合の機器交換作業を行うなど、ネットワークの運用をしているエンジニアのサポートが主な業務です。
メーカー同様に製品の技術サポートを行いますが、メーカーと違って機器の設定や操作など、オペレーションに関する問い合わせに対してのサポートがメインです。運用後に設定変更したけどうまく動かないなど顧客固有のネットワーク環境のトラブルのサポートも行います。
SIerとはSystem Integrator(システムインテグレーター)の略で、ユーザーから発注を受けてシステムをつくる会社です。
SIerのネットワークエンジニアは要件定義からはじまって、ネットワークの設計・構築を行うのが主な業務です。ベンダーからネットワーク機器を購入して設計を行って、機器に設定を入れてネットワークを構築してユーザーにシステムを納品します。
また、プロジェクトの契約上SIerのエンジニアが設計して、構築をベンダーのエンジニアが行うというケースもあります。この場合は、SIerのネットワークエンジニアにはベンダーコントロールなどのマネジメントのスキルも必要になります。
SESとはSystem Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略で、システムを作ったり、運用する会社にエンジニアを派遣する会社のことです。
SESのネットワークエンジニアの仕事内容は、派遣先の会社によって変わります。SIerに常駐して設計を行うエンジニアもいれば、システムを運用する会社に常駐してネットワークの運用をするエンジニアなどさまざまです。また、SESはエンジニアを他社に派遣することをメインにしているため、ネットワークエンジニアの仕事の内容はスキル次第になります。
逆に言えばスキル次第で上流工程の仕事にも携われてキャリアアップすることも可能です。未経験からネットワークエンジニアを目指してスキルアップを考えている方は、まずはCCNA取得を目指してみましょう。
関連記事:ネットワークエンジニアの派遣契約、SESのメリットとデメリット
CCNAとは|試験の難易度から合格するための勉強方法まで紹介
エンドユーザーとは、SIerにシステムを発注してシステムを納品してもらう会社のことです。
エンドユーザーのネットワークエンジニアはプロジェクト全体の管理や、システム納品時の成果物のチェックなどが主な業務になり、技術業務よりもマネジメント業務が多くなります。特に、システムを納品してもらうに当たって、ユーザー側としてシステムの正常性をどうやって確保するかも考えなければなりません。
たとえば、「新しいシステムで通信の正常性を確保するために各部署と連携してどうやって試験を行うのか?」「通信ができない場合はすぐに旧システムに切り替えが可能か?」または、「すぐにSIerのネットワークエンジニアに対応してもらえるか?」など、社内と社外の調整業務が必要になります。
システムを作るSIerが設計や構築で多忙であるのに対して、システムを受け入れるエンドユーザーもまた、新しいシステムに切り替えるために社内の各部署との調整業務で多忙になります。
ネットワークの構築業務では実機の設定だけでなく、たくさんの資料を作成しなければなりません。作成した資料は構築したシステムと同様に顧客への納品物になります。
納品された資料をもとに「顧客はどんなネットワーク構成になっているのか?」「どんな設定値になっているのか?」などシステムについて理解をして、ネットワークの運用を行い維持管理していかなければなりません。
ここでは、ネットワーク構築で作成する資料についてどのようなものがあるか紹介します。
「要件定義書」とは、ネットワークが作られる経緯から目的を達成するために必要な要件が記載された資料で、プロジェクトをスタートさせるために最初に絶対になくてはならないものです。
要件定義書にはどのようなシステムが納品されるか記載されているため、システムの構築に多額のお金を投じる顧客にとっては、会社の経営層への承認を得るための大事な資料にもなります。
この時点で曖昧な部分や不確定な部分を残してしまうと後々大きな問題になってしまうので、双方が納得いく形で明確に文書化しておかなければなりません。
設計書には「基本設計書」と「詳細設計書」の2つあります。
「基本設計書」には、ネットワークを構築するにあたってどのような方向性で作られるか記載されています。たとえば障害設計では、ネットワークに障害が発生した場合にどのような動作や経路になるかが記載されており、拡張設計では将来システムを大きくしていく場合に、どのようにIPアドレスを増やしてネットワークを拡張していくのかが記載されています。
「詳細設計書」には「基本設計書」で記載された内容を実現するために実機に設定する値が記載されます。たとえば、機器のホスト名やインターフェースのIPアドレスなどです。詳細設計書は機器に設定するパラメータが記載されていることから「パラメータシート」とも呼ばれます。
運用業務では実機に設定変更を行うたびに、機器の設定を管理する資料として詳細設計書が使われます。
「ネットワーク構成図」は他のエンジニアは作成しないネットワークエンジニア特有の資料です。
ネットワーク構成図には、どのインターフェースとどのインターフェースが接続されているかを記載した「物理構成図」と、機器に設定されているIPアドレスがどのネットワークアドレスに属しているかを記載した「論理構成図」の2つがあります。
「ラック図」には機器がどこに設置されているかが記載されています。ネットワーク構成図やラック図は保守作業では非常に大事な資料になります。たとえば、障害対応で機器を交換する場合は、どこのラックに機器が設置されているか確認したり、機器を交換する際に新しい機器に接続を替える場合など、どの機器同士が接続されているかの確認資料として使われます。
「構築手順書」は現地でネットワーク機器を接続して構築を行う際には必ず必要になります。「どのようなコマンドを投入して、どのようなことを確認してネットワークの正常性を担保するのか?」といった設定内容とと確認ポイントが記載されています。
疎通試験を行う場合も、どのようなコマンドを実行して、どのような確認を行うかなど、コマンドと確認ポイントの手順の流れが記載されています。
構築手順書は、場合によっては顧客が承認をするための確認資料になることもあります。作業する側にとっては作業ミスが起こらないための確認の資料としての役割があり、顧客にとっては本当に作業を実施させて大丈夫かという作業の承認をするための確認資料としての役割も持ちます。
ネットワークの運用・監視業務を行っていくためには、ネットワークの知識や技術以外にも必要なスキルがあります。運用業務は設計や構築のプロジェクトとは違って、ネットワークが存在する間はずっと続いていくライン業務のようなものです。
そして、業務ではオペレーションをいかに効率よくこなしていくかが問われます。ここでは、ネットワークの運用・監視業務を始める方にとっての準備をしておくといいスキルや心構えについて紹介します。
ネットワークの運用で触る機器は、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器だけではありません。ネットワークがあればそこには当然サーバーも存在します。
運用業務で関わるサーバーは、LinuxサーバーかWindowsサーバーのどちらかです。Windowsサーバーの場合はGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)操作ですが、LinuxサーバーはCUI(キャラクター・ユーザー・インターフェース)です。
Linuxサーバーを運用業務で使う場合は、Linuxのコマンド操作が必須になります。Linuxを触ったことがない人は、まずはLPIC Level-1の合格を目指してLinuxの操作に慣れることを目標にしましょう。
関連記事:LPICとは|身につくスキルとメリットから勉強方法まで解説
運用では「ターミナルソフト」や「VPNソフト」を使って機器にログインしたり、障害時には「パケットキャプチャ」でログを解析したり、連絡にはメールやチャットツールなどさまざまなツールを使って業務を行います。
未経験者からスタートした方の中には、業務で初めて触るツールがたくさんあって、焦りやプレッシャーを感じる方もいるでしょう。
運用業務ではシステムが安定して動いていれば、業務に空き時間ができます。空き時間をうまく使って業務で使用するツールのオペレーションの練習をしてみましょう。そして、ツールを使いこなして円滑に業務を行えるようになりましょう。
運用・監視・保守のようなネットワークを維持する仕事には、24時間の交替シフト勤務制がある現場もあります。人間の生活のリズムの観点から誰にとっても夜勤は身体への負担が大きい業務です。
夜勤の勤務前後はしっかりと体を休めて、普段から質の良い睡眠を取れるように体のリズムを整えることが大切です。また、夜勤業務は昼の業務に比べて比較的業務が少なかったり、空き時間ができるという特徴があります。空き時間を使って、資格勉強をするなどしてスキルアップをするために時間が取れる利点もあります。
運用・監視・保守でも夜勤がない業務もあるので、自身のスキルアップのプランや体調と相談して、自分にあった勤務体系の仕事を選んでみましょう。
関連記事:ネットワークエンジニアに夜勤はある? 夜間発生業務や避ける方法
どの業務においてもコミュニケーション能力が非常に重要です。ネットワークを維持する仕事においては、特に障害時にコミュニケーション能力が必要になります。
障害が発生すると顧客、保守業者、上長など関係各所への迅速な連絡が必要になります。対話で行うコミュニケーションだけでなく、連絡手段がメールやチャットになると文章でのコミュニケーション能力も必要です。
メールやチャットでのコミュニケーションにはタイピングのスピードが重要です。IT業界に限らずパソコンを使う業務においては、タイピング速度はどんな業務で重要になります。タイピングが苦手な方は下記のサイトでタイピングの練習をしてスピードアップを目指しましょう。
参考記事:寿司打
ネットワークエンジニアとして業務を始めるためには、まずはネットワークの知識がないと何も始まりません。ネットワークの知識を増やすためには、資格勉強をして合格を目指すのが一番の近道です。
また、資格取得は合格が目標ですが、合格後も資格勉強で得た知識をさらに広げるために、常に新しい資格取得にチャレンジすることも大事です。
ここでは、未経験からネットワークエンジニアになるために必ず取っておきたい資格を3つ紹介します。
アメリカの大手ネットワーク機器メーカーのシスコシステムズ認定の資格です。CCNAはネットワークエンジニアの登竜門的な資格で、ネットワークエンジニアを目指す方であれば最初に取得する資格です。また、ネットワークエンジニアに限らず、ネットワークのスキル高めるための資格として人気も高いです。
CCNAはネットワークの基礎知識を身につけるためには1番の近道です。簡単な試験ではありませんが、計画的に勉強をすることで未経験者でも充分に合格は可能です。
CCNAの上位資格にはCCNPもあります。CCNAに合格してさらにネットワークのスキルアップを目指している方はCCNPを目指してみるのもいいでしょう。
関連記事:CCNAとは|試験の難易度から合格するための勉強方法まで紹介
CCNPとは|年収・難易度から勉強方法までを実例付きで解説
Linuxの普及を目的にしている非営利団体のLPI(Linux Professional Institute)認定の資格で、Level-1はLinuxの基本的な操作スキルを証明するための資格です。
ネットワークエンジニアであっても、運用や保守業務でLinuxサーバーを触る機会もあるため、こちらの資格取得でLinuxに慣れておきましょう。
また、上位資格のLevel-2はサーバーの構築スキルが証明できる資格になります。ネットワークエンジニアだけでなく、サーバーエンジニアとしてのスキルも身につけて大きくキャリアアップを図りたい方はLevel-1に合格したら、Level-2にもチャレンジしてみましょう。
関連記事:LPICとは|身につくスキルとメリットから勉強方法まで解説
AWSを運営するAmazonの認定資格です。クラウドプラクティショナーは、基礎コースの位置付けで一番最初の入門レベルに相当します。上位のグレードに、アソシエイト、プロフェッショナルがあります。
ITインフラをクラウドで構築する企業は、年々増加傾向にあります。これからのネットワークエンジニアは、データセンターでITインフラを構築するオンプレミス環境と、Webの画面上でITインフラを構築するクラウド環境の両方で仕事ができることが求められます。まずはクラウドの基本的な知識や操作スキルを身につけるためにクラウドプラクティショナーを目指しましょう。
関連記事:クラウドエンジニアとは|高い将来性と年収からキャリアパスまで解説
ネットワークエンジニアといっても、会社の立ち位置や業務のフェーズが変われば仕事内容も異なります。ポジションによって必要されるスキルも異なり、構築するネットワークの種類、要件が変われば扱うネットワーク機器も変わってきます。
ネットワークエンジニアの仕事内容は千差万別で、それにともなってたくさんのキャリアパスがあります。未経験者の方でIT業界で働きたいと考えている方は、CCNAを取得して将来性のあるネットワークエンジニアを目指してみましょう。