特別インタビュー

エンジニアとしての幅広い経験がクラウド分野で結実する|ITエンジニアを目指すなら「知りたがり」であれ

サムネ

アルサーガパートナーズ システム本部 エンジニア 富岡 諭介 さん

Yusuke Tomioka・大学では建築デザインを専攻し、新卒でIT業界に飛び込む。システムエンジニアとしてキャリアをスタートした後、インフラエンジニアの仕事に携わる。手掛けた案件を通じてクラウドサービスのAWSに出会い、その可能性に魅了される。その後、アルサーガの経営理念や社風に惹かれ入社。現在はAWSを使いこなすクラウドエンジニアとして活躍する一方で若手の指導にもあたる

専攻違いでも、文系からでも理系からでも目指せるITエンジニア

大学では建築デザイン専攻でしたが、新卒で目指した就職先はIT業界でした。当時、建築業界の体質に疑問を感じていたこともあり、何か別の道はないかと考えた末にIT業界を選択しました。

というのもIT業界なら建築専攻の学びのエッセンスが生かせると考えたからです。建築とITはモノづくりのプロセスが似ています。つまり最初はぼんやりとしているアイデアをもとに、ロジカルな思考を重ねて次第に形にしていく過程が建築もITも同じ。だから就職先選びにも違和感がなかったのです。

建築とITの共通点

ついでに言えば、建築やITはいわゆる理系職種と思われがちですが、理系・文系の区別は仕事選びには関係ないと思います。どちらも論理的に考える力は共通して必要ですが、文系か理系かは大きくは仕事に影響しません。

たとえば文系であろうと理系であろうと、卒論は物事を論理立てて考え論文の形にまとめ上げる作業である点は同じ。そのロジカルなプロセスを理解し実践できた人なら、限られた専門知識が必要な分野を除けば、理系・文系に関係なく本人次第で活躍できるはずです。

私の場合は、高校時代からAppleのMacintosh(マキントッシュ)のパソコンを使っていましたし、漢字Talk(かんじトーク=Mac OS日本語版)に触れてみたり、大学の研究室ではCAD(コンピューター支援設計システム)を使ったりしていました。ですからコンピューターやIT業界に対するアレルギーがなかったのも、専攻とは関係ないIT業界を目指すことにつながりました。

使える手段を全部駆使して知識習得に励んだ新人時代

新卒で入社したIT企業では、開発からシステムの導入支援などまで幅広い仕事に携わりました。いわゆるシステムエンジニアとして働き始め、最初はテスト業務などの支援役からスタート。その後、比較的早い段階でアプリケーションのプログラミングの仕事に携わるようになりました。いわゆるプログラマーですね。

自社開発のワークフローパッケージを外販する会社でしたから、その後も在籍中を通してずっとプログラミングの仕事だけをしていたわけではなく、導入支援や顧客とのお付き合いなども含む、システムエンジニアの仕事全般にも幅広くかかわりました。エンジニアとして広範な仕事にかかわれたことは、自分のキャリア形成にとって良かったと、振り返って思います。 

とはいえ新しい知識を次々に身につけていく必要があり、大変な面もありました。誰かから何かを習うというのではなく、ひたすら現場仕事の中で必要なことを身に付け、未知な分野にも必死に食らいついていった感じです。 

そのためには使える手段は全部使いましたね。マイクロソフトが開発者向けに提供しているサービス、MSDN(Microsoft Developers Network)や、マイクロソフトの提携企業だけが利用できるナレッジベースなどを目いっぱい活用しながら、システムエンジニアとして頭と腕を磨き続けた約6年間でした。 

そんななか第一の転機が訪れます。会社の合併にともない、インフラエンジニアに転身することになったのです。初めは当然インフラに関する知識は乏しかったのですが、ここでもゼロからスタートして少しずつインフラエンジニアとして成長し、プロジェクトリーダーを任されるまでになりました。

当時のインフラはオンプレミス(サーバー機器などのハードウェアおよび業務用アプリなどのソフトウェアを自社内に設置し管理・運用すること)が当たり前の時代でしたから、ネットワークやストレージ、サーバーに関する知識を学び、実践を通じてインフラエンジニアのスキルを身につけました。 

ここでもあの手この手を駆使して学び続けました。ベンダーと協業してインフラを構築する仕事のスタイルでしたから、身近にいるベンダー所属のインフラエンジニアの方の作業を、足繁く通って観察させてもらっていました。また機器同士をつなぐケーブリングを覚えるためにデータセンターに通い、一つひとつ「これは何?」「こうする理由は?」とベンダー側に質問。ベンダーのインフラエンジニアにしてみれば私は一種のストーカーですよね(笑)。それでも少しでも疑問が残る点については、自分の血肉化できるまで聞き続けました。

富岡さんが経験した主なエンジニア分野

どんどん変わっていくAWSの進化が面白すぎる

新卒でIT業界に就職し、システムエンジニアやインフラエンジニアを中心にITエンジニアの仕事歴が15年ほどになったころ、キャリアのターニングポイントを迎えました。クラウドコンピューティングサービスとして世の中に広がり始めていたAWS(Amazon Web Services)に出会ったのです。

ホスティングサーバーで運用していた某官庁のウェブサイトを移行するプロジェクトに参加した際に初めてAWSに出会いました。その出会いは私にとっては衝撃的なものでした。それまでオンプレミスの仕事で感じていた不便さやもどかしさが、クラウドのAWSを使うことで一気に解消されてしまうからです。

オンプレミスではハードウェアの搬入からケーブル管理、ストレージの設定、ファイアウォールの設定などまで、物理的作業を含む多くの作業が必要です。つまり機器を運んで正しく設置したり、配線をしたり、その場で機器類の調整をしたり、とてもたくさんの人手や時間がかかります。

ところがクラウドならそういった作業をパソコンからの操作で、自分たちだけの手で済ませられるため、リードタイムを大幅に短縮できます。まずはそのスピード感の違いに驚きました。

オンプレミスとクラウドの違い

尽きない好奇心がエンジニア成長の推進力

AWSというサービスが絶対に伸びると確信し、そこからはもう「沼」にはまりました。 またこの沼から抜け出せなくなった理由は、どんどん新しくなり成長し続けるAWSから常に新たな刺激を受けられる点です。AWSには2022年現在で220種類のサービスがあり、それらに関するアップデート情報や、更なる新サービスの発表が毎週のようにあります。どんどん進化していくサービスであることも面白さを感じる理由の1つです。

オンプレミスでインフラエンジニアとしてのキャリアを築いてきた人の中には、クラウドサービスと距離を置きたがる人もいます。ですが私は好奇心の方が勝る性格ですし、オンプレミスでの経験や知識がクラウドの分野でも生かせると感じているので、抵抗なくAWSにはまっていきました。

一方で現在はAWSにどっぷりはまっていたとしても、もしも新たに優れた仕組みやサービスが登場した場合には積極的にキャッチアップしていくつもりです。新しいテクノロジーには決して保守的にならず、好奇心を絶やさず、前に進んでいくのがエンジニアとしての正しい姿勢だと思うからです。

オンプレミスの経験はインフラエンジニアにとって貴重なもの

インフラエンジニアとしてオンプレミスでのキャリアは、後にクラウドエンジニアになる場合に少なからずアドバンテージになります。途中からクラウドに移ると、オンプレミスでのキャリアが無駄になるというものでもありません。オンプレミスで培ったネットワーク、ストレージ、サーバーなどの知識と経験はインフラにかかわる仕事の基礎として重要ですから、クラウドを始めるにあたっても1歩先にスタートラインを設定できます。

また、最初からクラウドにどっぷりと浸かってITエンジニアのキャリアをスタートするのも良いでしょう。先ほども指摘したように、むしろプラス面も少なくありません。

どちらでキャリアを始めるとしても、クラウドの世界では総合力が求められるということは知っておいてください。当然のことながらネットワークを知り、サーバーも知っていた方が有利です。またプログラミングの知識を求められる局面もあります。簡略化して説明すると、クラウドではインフラ構成そのものをコード化することになるので、その際にプログラミングの知識や経験があると非常に仕事をしやすいわけです。 

私は仕事を始めてからプログラミングを一から学んだ者なので、プログラミングが難しいか難しくないか簡単には説明できませんが、1つ言えることがあります。それは若い人材にとっては、そのハードルが下がっているだろうということ。 

私には高校生の娘がいますが、学校ではプログラミングの授業があるし、1人1台のMacBook Airが与えられ、自分でホームページ作りなども実践するそうです。 

ですからこれからの若者にとって、プログラミングやそのほかのITスキルを身につけることは、私たちの年代が考えるように特別なことではないのだと思います。

「バグを否定しない」会社だから、吸収し成長できる 

アルサーガに転職したのは、自由な社風や、個々の社員に裁量を与える会社の方針に魅力を感じたからです。ここでなら経験あるエンジニアとしての自分のアイデアを具現化できるし、若いエンジニアとも壁を感じずに刺激やアイデアを得ることができると信じられたのが、アルサーガを選んだ理由です。実は他に決まりかけていた転職先もあったのですが、いま説明した理由で別の会社を辞退し、アルサーガを選びました。

アルサーガの考え方で、エンジニアとして私が気に入っているのが「バグを否定しない」という方針。「バグ」は否定的な意味が強いのですが、それを否定しない。私がそれに共感するのはバグから得ることが非常に多いからです。 

バグがあればシステムはうまく動かず、なぜそうなるのか追求する必要が生じます。考え、試し、試行錯誤しながらさらに調べる。この過程でエンジニアは多くの周辺の知識を学べるのです。結果的に、問題となったバグへの対処に必要な知識だけでなく、プラス・アルファとして学べる多くの知識や事柄があります。ですからバグを否定すれば、エンジニアとして学ぶ機会の損失につながるとさえ言えます。

もちろん、あらゆる仕事の局面でバグはない方が良いし、そうあるように努めるのがエンジニアの仕事です。ですが、避けられないバグの存在があるのも事実。だからこそそれを肯定的に捉えて学びにつなげるという発想がエンジニアとして成長していくために必要です。

しかも現在はインターネット上を含めあらゆるナレッジにアクセスできる時代です。そこから貪欲に情報を集め吸収しながら、自分を高めていくという姿勢。その背中を積極的に押すのが「バグを否定しない」という考え方だしエンジニアに必要な考え方だと、経験を積めば積むほど、そう思うようになりました。

バグを否定しないメリット

インフラエンジニアは「知りたがり」であれ

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インフラエンジニアやクラウドエンジニアを含むすべてのITエンジニアに対して、「知りたがりであれ」とアドバイスしたいと思います。この世界は大変なスピードで進化する技術とともにあります。次々と世に出てくる新技術や新たな情報に対して、常に知りたがる姿勢がITエンジニアには絶対に必要です。

またインフラエンジニアには顧客が求める要件を理解し、そのためにどういうサービスを組み合わせていくのか、いわゆるソリューションアーキテクトの能力がもとめられます。とくにクラウドエンジニアの場合は、従量課金制が中心のクラウドサービスのコスト面も配慮して最適解の組み合わせを探る力が求められます。最適解を導くには総合的な判断力や構成力が必要になる。クラウドエンジニアには総合力がもとめられるとよく言われるのは、そういう意味もあります。 

自分の考えや意見を説明したり、人からのアドバイスを聞いて取り入れる力も必須です。新卒で入社した会社の上司に言われて、いまでも覚えているのは「30分悩むくらいなら、まわりに相談しろ」という助言です。 

いつまでも1人で悩むのは良い判断とは言えず、適切に自分以外の知恵や経験を生かすことが、仕事のうえでは必要な対処法だという意味です。そのためには人に説明し、人から聞く力、つまりコミュニケーション能力が必要になります。

私自身は考えるよりもまず手を動かすことを心掛けていますが、これからエンジニアを目指す方にも、手を動かす習慣を身に付けろと言いたいですね。たとえばクラウドエンジニアを目指す人はAWSのアカウントを取って仮想ネットワークを構築してみたり、仮想サーバを動かしてみたりと、AWSのリソースを作成する手を動かしてみたらどうでしょう。

クラウドエンジニアになりたいという相談を受けることがありますが、「AWSのアカウントを持っていますか」とたずねると持っていない人ばかり。AWSのアカウントは無料枠もあるし学生がアカウントを取ることも可能ですから、ぜひアカウントを作ってみてください。

そうして実際にAWSに触れてみれば、そこにはどういう世界が展開しているのかを実感できます。この経験があると、仕事を始めてからも先輩エンジニアとの間で共通言語を持てる。「この機能は、あの画面のこの部分にあったものですよね」といった会話ができるわけです。

インフラエンジニアに必要な適正

目立たぬ場所で社会を支えている実感がインフラエンジニアのプライドだ

 インフラエンジニアの職業としての魅力は、やはり社会を支えている実感とやりがいでしょう。しかも仕事内容が人の目に触れにくいものですから、社会に欠かせない重要な歯車を作って動かす仕事を、目立たない立場でやっているという自負心が、インフラエンジニアには強いと思います。

一般の人にとってはスマートフォンの中のひとつのアプリに過ぎなくても、そのサービスを実現するため、裏側にはインフラを支える膨大な努力があり、そこを担っているのがインフラエンジニアなのです。

前職でソーシャルメディアのシステムにかかわっていたことがありますが、有名人の結婚ニュースなどがあるとアクセスが一気に急増するようなメディアでした。そのシステムをきちんと支えるインフラを構築し運用するのは決して簡単なことではありません。その実現のために目立たない裏側で頑張ることが仕事のプライドにつながっています。

富岡さんと描くインフラエンジニアの未来

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