特別インタビュー

インフラエンジニアはチャンスだらけ! いち早く新しい技術を学び続ける姿勢が「稼ぐ力」につながる

Widsley(ウィズリー) インフラマネージャー 牧野 正治さん

Widsley(ウィズリー) インフラマネージャー 牧野 正治 さん

Masaharu Makino・2010年にDTSに入社。3年で退社後、一時期輸入事業や留学を経験したのち、2015年にスマートテックシンクに入社。ネットワークに強いエンジニアを目指し、執行役員なども経験。2017年のNTTデータテラノスで多数のクラウド構築案件に携わり、2020年からはGMOペイメントゲートウェイへ。クラウドの知識を深めるため2022年からアマゾン ウェブ サービス ジャパンで従事した後、SaaSに興味を持ち2024年にWidsleyへ入社。以降現職

たまたま配属された先でインフラ領域への興味を深めることに

初めてPCに触ったのは幼稚園の頃。そしてインフラ領域を最初に触ったのは、中高生の頃だったと記憶しています。PC雑誌をきっかけに、Linux(リナックス)というOS(オペレーティングシステム)を自宅PCで試してみることに。LinuxはMacやWindowsと同じOSの一種ですが、誰でも無料で使えるオープンソースであることが特徴です。実際に利用できるまでには多くの試行錯誤が必要でしたが、最終的にOSが立ち上がったときは大変感動したことを覚えています。

その後、大学でも情報系の学部に進学し、在学中には基本情報技術者試験や初級アドミニストレータなどの資格も取得しました。インフラ領域への興味も持ってはいましたが、就職活動のタイミングでは「どちらかといえばプログラミングをやりたい」と思っていましたね。

ファーストキャリアを選ぶ際に軸としたのは「とにかく技術力を磨ける会社に行きたい」ということです。リーマンショック後の厳しい世の中で「稼ぐ力を身に付けたい」という思いが強かったので、そのためには技術を上げる必要があると考えたのです。

そうして技術力を磨けそうな場所として選んだのが、独立系のSler(システムインテグレーター)です。ユーザー系やメーカー系のSlerは親会社の方針に影響を受けますが、独立系であれば、いろいろな仕様の製品を扱い、どれが一番効果的なのかを選定できるような技術力を身に付けられるのではと考えました。そして独立系の中でも比較的大きな会社だったDTSへの入社を決めました。

入社前は「それなりに資格やスキルもあるし、開発分野でプログラミングを任されるだろう」などと思い込んでいたのですが、配属されたのはインフラに携わる部署でした。ここが最初のターニングポイントです。希望の部署ではなかったものの、結果として、ここからインフラ領域への興味を深めていくことになりました。

ネットワーク領域で専門性を磨くも20代後半でクラウド領域にシフト

入社後は、インフラ領域のなかでもOSやミドルウェアの構築案件に数多く携わりました。インフラエンジニアのキャリアとしては、まず運用・保守から始めるのが一般的ですが、早いうちに運用・保守以外のいろいろな仕事をたくさん経験させてもらえたことは非常に良かったなと思っています。この時期に、情報セキュリティスペシャリストの資格も新たに取得しました。

当時は仕事の片手間でデジタルガジェットの輸入ビジネスなどもやっていたのですが、円高の煽りを受けて好調だったので、一旦会社を辞めてそちらに集中しようと決意。輸入ビジネスに必要な英語を勉強しようと1年弱の海外留学なども経験しましたが、「いずれエンジニアには戻ろう」とは考えていて、実際に3年ほどでエンジニアに復帰することにしました。

2社目を選ぶ際の軸にしたのは、「ネットワークの仕事ができる会社」ということです。プログラミングやフレームワークなどの技術に比べると、ネットワーク分野は技術の進化がゆったりしており、経験年数に応じて専門性を深めやすいことに魅力を感じたのです。ハイスキルなネットワークエンジニアが高年収で活躍している状況にも心ひかれ、20代半ばで「ネットワークとその周辺技術の専門性を深めていく」というキャリアの方針を立てました。その後クラウドが出てきて状況は一変しますが、当時はそういった計画でしたね。

ネットワーク構築のプロジェクトに携わることができる会社として選んだのは、スマートテックシンクというスタートアップ企業です。少人数だったので執行役員なども任せてもらい、狙い通り、同社で過ごした2年ほどで、ネットワークの基本的な知識を積み上げることができました。

牧野さんのキャリアヒストリー

3社目に移ろうと決めたのは、クラウドが流行り始めたことがきっかけです。2016年に初めてクラウドでインフラ構築したときには、その扱いやすさに驚いたことを覚えています。「これは今までと状況が変わるぞ、クラウドを中心に学び直して経験を積んだ方が良さそうだ」と感じ、キャリアの方向性を変えることにしました。

そうして、3社目として選んだのは、NTTデータと近畿日本ツーリストが資本提携をして誕生したNTTデータテラノス(現KNT-CT・ITソリューションズ)という会社です。クラウドは当時まだ最先端技術だったので、オンプレミス(※1)のサーバやネットワークからクラウドへの移行プロジェクトを手掛けている会社はそう多くはありませんでした。そのようななかでも、同社は難易度の高いシステム移行の案件をたくさん手掛けている会社だったため、ここで経験を積みたいと考えました。

期待通り、同社で担当した案件のうちの2〜3割はクラウドへの移行プロジェクトでした。世間的に見てもまだ早い時期にクラウドの知識を実践的に学べたことに加え、20代後半でプロジェクトリーダーやマネージャーなどのポジションも任せてもらい、マネジメントのスキルや経験も積むことができました。

ネットワークからクラウド領域に軸足をシフトし、かつ大きく成長できたという点で、同社に入社したことがキャリアの中での3つ目のターニングポイントになったと捉えています。

※1 オンプレミス……社内にサーバーなどの設備を設置して運用や管理をすること

他のエンジニアがやっていない領域を常に探してチャレンジを続けた

Widsley(ウィズリー) インフラマネージャー 牧野 正治さん

2020年には、4社目となるGMOペイメントゲートウェイに入社。同社はこれからクラウドを扱っていこうというタイミングで、「3社目で培ったオンプレからクラウドへの移行案件の実績や経験値を活かせるのでは」と考えたのです。転職にあたっては、2社目で培ったネットワークの知識があることも武器になりました。

同社の方針としては「オンプレミスのサービスも完全にはなくせないため、クラウドとハイブリッド構成でやっていく」とのことでしたが、一方でクラウドネイティブな技術で開発しようという動きも始まっており、良いポジションを担えるのではないかという期待も大きかったですね。

また同社では、イベントへの登壇なども経験させてもらいました。GMOは決済事業者のため、セキュリティの観点からも、以前はあまり外への発信をしていなかったそうでしたが、エンジニア採用のためにもGMOグループの仕事を外にアピールしていこう、という動きが始まっていて、良い時期に入社できたと思います。一方で、採用難から若手の給与が急激に上がってきたのもこの時期で、自分のスキルと給与のバランスを考えたときに「もっと満足のいく会社に移りたい」と考えるようになりました。

2022年頃は「AWS」「Azure」「Google Cloud」など、さまざまなクラウドプラットフォームが広がり始めていた時期です。これからの時代を席巻するサービスになると予見し、「SaaSの開発を手がけられるようになれば、1人で何人分もの仕事ができそうだ」という期待感を持って、キャリア5社目となるアマゾンウェブサービスジャパンに入社しました。

Amazonには「ソリューションアーキテクト」という役割があり、クライアントと技術者の間に入って、サービスの構築をおこないます。私もこの役割に就いたのですが、実際にやってみるとお客様への技術的な説明業務が多く、予想とは違って対人業務が中心であり実際に自分がやりたかったこととのギャップを感じました。

そのため、技術力を磨きつつより責任ある立場でチャレンジできると感じた当社Widsleyに入社。私はとにかく稼げるエンジニアでありたいという思いが強いので、常に自分の市場価値や希少性を出せるポジションを意識しながらキャリアを歩んでいます。もし同じような考えの方がいれば、常に「他のエンジニアがやっていないところはどこなのか?」という目を持ちながら専門性を磨いていくのがおすすめです。

インフラ領域は過渡期。だからこそ抜きん出るチャンスがある!

クラウドが世界中に普及しつつある現在は、これまでのシステムのあり方が大きく変わる重要な過渡期を迎えていると言えます。そういった意味で、これからインフラエンジニアを目指す人は、非常に恵まれていると思いますね。以前よりもインフラ領域がわかるエンジニアの需要が増していますし、クラウドを扱えるインフラエンジニアは相対的に見てまだまだ少ないからです。

クラウドを扱える技術を身に付けるだけで、20代で高い年収を得ることも難しくないと思います。「従来のオンプレの技術だけで、運用・保守の仕事ををやっていこう」というエンジニアたちとは違った戦い方ができるはず。もちろん頑張り次第ではありますが、競争相手が少ない分、自分自身との戦いをすればいいので気持ちはラクだと思いますね。

インフラ領域に向いていると思うのは、成長している実感を持ちたい人。インフラのノウハウはいろいろなプロジェクトで応用できますし、経験を積み上げていけるので、自身のスキルアップを実感しやすい領域だと思います。

キャリアの道筋としては、まずは構築や運用を経験してから、次に要件定義や設計にたずさわっていくと良いと思います。新しいネットワークシステムを作るところから運用まで全工程を経験しておき、かつネットワークや・セキュリティなどの分野にも手を広げておくと、いろいろな会社で強みにしていけると思いますよ。

インフラエンジニアとしての経験を積んでいく道筋の例

また、従来のインフラエンジニアには「システムトラブルが起きれば、昼夜関係なくデータセンターに駆けつけなければならない仕事」といったイメージがありました。今でもそういう仕事がなくなったわけではないですが、クラウドの案件が主流になってきて、さらにここ数年で一気にリモートワークが整備されたことで、自宅からシステムトラブルに対応できる案件も増えています。業務負担という点においても、これからのインフラエンジニアにとっては良い環境になっていると思います。

「新しい技術が出てきたら触ってみる」だけで周りとの差はつけられる

これまで計6社で働いてきましたが、転職に際しては「実務経験」と「資格」を武器にしてきました。資格は客観的な指標になるので、持っていて損はありません。私も現在進行で資格取得を続けており、直近ではAWSの全12個ある資格のうち、初級者向けの1個を除く11個を取りました。

最新技術は人より早く勉強するほどチャンスにつながるので、「何にでも興味を持ち、とりあえず触ってみる」という姿勢は、エンジニアとしてステップアップしていくための必須条件と言えるのではないでしょうか。とはいえ自分の知識と遠い領域にいきなり手を広げるのは難しいでしょうから、今やっているところと近い分野にじわじわと知識を広げていく意識を持っておくと良いと思います。

また、新しい技術が世の中で話題になってから、実際に大手企業が導入を決めるまでにはおよそ5年くらいの猶予があります。この5年の間に新しい技術を勉強して自分のものにしておけば、5年後に経験者として大手企業にも自分を売り込むことができます。

今であればAI(人工知能)が話題ですが、これから多くのIT製品に組み込まれていくと考えれば、今のうちに勉強しておかない手はありません。

「成長するインフラエンジニア」の特徴と習慣

私自身は新しい技術が出たらすぐ触ってみる、近しい領域に知識を広げるといったことがすでに習慣になっています。今後はSaaSのプロジェクトマネージャーとしての経験を増やしていこうと思っていますが、引き続き技術力を上げることにも取り組んでいきたいです。

最近はアプリについて勉強しています。インフラもアプリ開発も、それぞれを専門とするエンジニアはたくさんいますが、インフラとアプリの両方がわかっている人は現状少ないので、市場価値を出せるだろうと見込んでのことです。

20代の頃には1日4時間近く勉強をしていた時期もありますが、キャリアを重ねた現在も1〜2時間は勉強するようにしています。リモートワークが浸透したことで、以前にも増して勉強の時間を確保しやすくなりましたね。

リモートワークによって時間を有効に使えるという点でも、これからエンジニアを目指す人は恵まれていると思います。エンジニア1年目から勉強を習慣にしておけば、当たり前に勉強できるようになるはずです。ITトレンドの情報を追うだけでも意味はあるので、仕事でかかわっている案件以外にも広く興味のアンテナを立てておくことをおすすめします。

牧野さんと描くインフラエンジニアの未来

取材・執筆:外山ゆひら

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