CCNAの合格点は? 試験改定後の傾向や勉強方法を解説
2022.04.27
INTERVIEW 特別インタビュー
特別インタビュー
Yoshihiro Masuda・大学卒業後、1995年に関西国際空港情報通信ネットワーク(現 関西エアポートテクニカルサービス)入社。ネットワーク関連の仕事への関心が高まり、2001年にケーブル・アンド・ワイヤレスIDC(現 IDCフロンティア)へ転職。2008年にレンタルサーバー会社のワダックスに誘われCTOへ就任。2015年、ワダックスがGMOインターネットグループとジョイン。GMOクラウドWEST社長、GMOクラウド取締役、同・常務取締役を経て2022年より現職
物心ついた頃にTVゲームやファミコンが流行り始めた世代なので、いつもゲームで遊んでいました。たまたま友だちがゲーム専用機ではなくパソコンでゲームを楽しんでいるのを見て自分も真似するようになり、それがパソコンやコンピューターに興味を持ったきっかけです。
中学生の頃にはすでに、将来はコンピューター関連の職業に就きたいと思うようになり、大学は工学部に進学しました。しかし卒業当時はまだエンジニアといえば機械系エンジニアのことを指す時代。IT系エンジニアの存在は一般的でなく、いわゆるIT系エンジニアの人たちは全部まとめてシステムエンジニアと呼ばれていました。
まだそんな時代でしたが、念願かなって何とかコンピューターにかかわれる仕事を見つけることができ新卒入社。それが関西国際空港情報通信ネットワーク(現関西エアポートテクニカルサービス)です。空港内の旅客案内システムを担当し、出発時刻や行先・航空会社名などを表示するフライトボードのシステムを運用していました。
具体的には航空会社から送られてくる情報をホストコンピューターで解析してフライトボードに表示する仕組みの担当で、これを24時間365日トラブルなく運用するのが役目。いまで言うオペレーターの仕事です。
そんな仕事に数年間携わっている間に世の中では急速にインターネットが普及し、インターネットを利用した各種サービスが社会に浸透。ネットワーク空間がそれまでとは比べ物にならないくらい巨大な広がりを持つようになりました。
そんな状況を目の当たりにして、空港内の狭いネットワーク空間を飛び出して、より大きな世界でインターネットの可能性の広がりとともに自分も成長していきたいと考えるようになったのです。
それで転職した先に選んだのが、世界的な通信キャリア大手のケーブル・アンド・ワイヤレスが日本の国際デジタル通信を買収してできたケーブル・アンド・ワイヤレスIDC(現IDCフロンティア)でした。大阪のデータセンター設立などにも携わりました。会社自体が日本のインターネットを支える事業を展開していたので大きなやりがいを感じましたね。
そのころ取引先企業としてかかわっていたのがレンタルサーバー会社のワダックスです。同社のエンジニアたちと共同で仕事をすることも多く、トラブル対応で力を合わせることもありました。そんな縁もあってワダックスから誘われたのを機に2度目の転職を決意したのです。
当時は自分の職や立場ではやれることにも限界があると感じていました。同時に責任を負いそれなりの立場に立たなければできない仕事があることを理解していたので、取締役のポジションを用意してくれるとのワダックスの誘いに魅力を感じました。
実際に会社を移った後はCTOとして、一介のエンジニアではできない範囲にまで仕事を広げられることになり、キャリア形成のうえでのターニングポイントになりました。
社会人になって以降、私なりにエンジニアとしてのキャリア形成を考えてきました。自分自身はコンピューターの画面に向き合ってこつこつとコマンドを叩いている方が性に合っていると思っていたので、技術を磨くことにエネルギーを注ぎ1社目ではインターネットやネットワークについて必死の思いで勉強しました。
それで自分がいまいる環境の中ではこれ以上の成長は難しいと感じた時点で転職を決めたのです。2社目ではインターネットの世界をより広く深く学ぶ機会を与えられ、もっと広くもっと深くという意欲を掻き立てられました。同時に学ぶべきことも多くネットワークエンジニアとして一番勉強した時期だったと思います。
しかし、そうやってネットワークエンジニアの高みを目指せば目指すほど自分の中に、ある種の限界みたいな感覚が出てきたのです。技術的な能力の限界もありますが、自分が本当にやりたい仕事が、スペシャリストを目指す道の延長線上にあると信じ切れるかどうかの限界。ネットワークエンジニアとしてどこまで行けるのか、あるいはネットワークエンジニアを究めた先に自分のやりたい仕事とキャリアが描けるのか。その限界です。
当時勤めていたケーブル・アンド・ワイヤレスIDCは東京が本社で私は大阪拠点に勤務していました。どうしても本社の意向を確認する必要があり、大阪拠点の独自判断では動けない場面もあり歯がゆさを感じたこともあります。私が感じた限界には、そういった組織上の制約も関係していたと思います。
そういう意味で、ワダックスからの誘いが組織のなかでもより力を発揮できるポジションを用意してくれる内容だった点も魅力でした。
転職から数年してワダックスがGMOクラウドとジョインし組織が大きくなったこともあり、私自身が現場にかかわることは一段と少なくなりました。それでも現場がわかる経営陣でいられるのは、ネットワークエンジニア出身の自分の強みだと思っています。
スペシャリストかマネジメントか、どちらが上というものではありません。キャリアの選び方は人それぞれ。スペシャリストの道を究めるには新技術や知識への好奇心を絶やさず学び続けるエネルギーが必要ですし、それができるのはある種の才能なのかもしれません。
私はその才能がなかったのかもしれませんし、一方でマネジメントの仕事により強く惹かれた面があったのも確かです。しかしいずれにしても、スペシャリストを目指さずマネジメントの道を進むのであれば技術力の高さや最新情報への感度の高さが不要、という話ではありません。技術がわからないマネジメントではエンジニアが信頼してくれないからです。
そういう意味ではマネジメントになっても新しい技術や知識の勉強は怠るわけにはいきません。つまり一介のネットワークエンジニアだろうとエンジニアを束ねるマネジメントであろうと、エンジニアの世界にかかわる以上は、最後まで学ぶ姿勢や好奇心を持ち続けなければ納得いく仕事ができないのだと思います。
ネットワークエンジニアの魅力をひとことで言えば「わかりやすさ」でしょう。仕事の結果がはっきりしています。仕事がうまくいけば、ネットワークがきちんとつながる。上手くいかなければ、つながらない。結果はゼロかイチかで、とてもシンプルです。
これがたとえばアプリ系のエンジニアだったら、どうなれば成功で、どこからが失敗なのかわかりづらい。またサーバー系エンジニアの場合は、サーバーにトラブルがあれば問題点を切り分けていきますが、最終的に問題点を絞り切れずに終わることも珍しくありません。
ネットワークエンジニアの魅力をもうひとつ付け加えれば、生活のすべてにインターネットが欠かせない時代において、そのネットワークを支え、社会の仕組みを維持し人々を豊かにしているのは自分たちだという誇りを感じられることでしょうか。
たとえば、かつて勤務したケーブル・アンド・ワイヤレスIDCはインターネットの通信ネットワーク構造のなかで最上位の階層とされるティア1相当の事業者でした。専門的な話になりますが、インターネット上のすべての経路情報を受け取る「フルルート」運用の仕事に携わっており、それらを自分のコマンド一つで動かせる仕事をしていました。
言ってみればインターネットを支える事業者のひとつで働き、実際に日本のインターネット運用の根幹を支えていたわけで、その感覚はほかでは得られない喜びでした。
逆に言えばコマンドをミスしたりすれば大変な事態になりますし、実際に心臓が止まりそうなヒヤヒヤする体験もしましたが、むしろその緊張感もやりがいになりました。
いまの時代の若者たちはネットやスマホのネイティブ世代だということもあって、エンジニアの世界でもウェブブラウザ上で利用するアプリやスマホ上で使用するアプリ開発に携わるアプリケーションエンジニアの志望者が増えています。またビジネスの世界で活用が広がるAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)などのクラウドサービスを扱うクラウドエンジニアの志望者も増えています。
逆に言えばネットワークエンジニアは、そこまでの人気職種ではない分だけ、今後それほど人数が増えることはないかもしれません。そうなると、むしろ希少価値というか求められる場面が多くなることも考えられるでしょう。その意味では、いまネットワークエンジニアを目指すのはお勧めといえるかも知れませんね。
インターネットとかネットワークは、すでにこなれたサービスとなっていますが、まだまだ掘り下げられる部分や、運用の改善を図れる部分はあり、十分に面白みのある分野だと思います。たとえばネットワークの世界では年々、セキュリティ対策が重要度を増しており、セキュリティひとつをとっても探求すべき部分が残されています。
将来性を考えても、ほかのエンジニア領域より安定している面もあります。生成AIの進化でエンジニアの仕事も変わっていくはずですが、その影響はアプリ開発などの分野の方が大きくなる可能性があります。
ネットワークエンジニアのようなインターネットの根幹部分にかかわるような仕事は、もちろん自動化が進む部分もあるとは思いますが、人間がかかわらざるを得ない部分が必ず残ると思います。もちろん技術進化は想像を上回るスピードなので、断言はできませんが現時点ではそう考えています。
取材・執筆:高岸洋行
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