
CCNAの合格点は? 試験改定後の傾向や勉強方法を解説
2022.04.27
INTERVIEW 特別インタビュー
特別インタビュー
Ryuji Mikuni・土地測量会社在籍時に社命で用地測量のシステム開発担当となる。これを機にIT業界に転職し実績を積むが、交通事故でキャリアを中断。長期療養後、2012年にボールド入社。その後はエンジニアを務めながら管理も担うプレーイングマネージャー、社内の役職はシニアディレクターとして活躍。現在は技術面の責任者として技術部門を統括
いまでこそIT系事業を幅広く展開するボールドの技術部門を任され、エンジニアを育てたり指導したりする立場ですが、社会人としてのキャリアは他業種からスタートしています。
エンジニアになる前は土地測量会社に勤務する会社員でした。ところが会社が新規事業として地方自治体の用地測量システムの開発を請け負うことになり、そのプロジェクトを私が任されることに。
会社も私もシステム開発なんてまったくの素人で実績もなく、なぜ自治体のこの仕事を落札してしまったのか(笑)。とにもかくにも仕事を請け負ってしまった以上はやるしかありません。
当時、1990年代はまだ文章をワープロで作成する時代。パソコンのOSはWindows3.0や3.1の時代で、私自身はパソコンどころかワープロも触ったことがありませんでした。
にもかかわらず、当時最高レベルといわれたIBMのエンジニアたちと組んでシステム開発をすることになったのですから、彼らから教わり手ほどきを受けながら必死に食らいつくしか道はありませんでした。
とにかく独学で、データベースとは何か、通信ネットワークとは何かから勉強し、4年ほどかけて何とかこの案件を仕上げました。
その後、測量の仕事に戻ることもできたのですが、ここまでやった後でいまさら前の仕事に戻る気持ちになれず、エンジニアとしてIT業界へ転身する決意を固めました。それが私のキャリアのターニングポイントのひとつです。
いま考えると会社が仕事を落札したのも私が担当を任されたのも偶然の出来事ですが、それが私をエンジニアのスタート地点に立たせてくれたのですから、偶然の幸運が導いてくれたエンジニア人生といえるでしょう。
IT業界への転職を考えているとチャンスがやってきました。携帯電話事業を始めたNTTがドコモの研究所を新設し、職員募集があって採用されたのです。
仕事は携帯電話の基地局間の通信を検証する内容で、通信プログラムの開発会社が作ったプログラム内容が仕様に合っているかをテストし、エラーがあれば発生原因を究明することでした。
プログラムが書かれているコンピューター言語「C言語」や、使用されている商用ユニクス・サーバーに関する知識は仕事に必須ですから、ネットワーク全般について勉強しました。さらに次の仕事ではLinux(リナックス)を含むサーバーについてもより深く学びました。
また、その頃にはインターネットが急速に普及し、店舗や事業所間でLANを構築する仕事も増え、それに伴いトラブルシューティングの仕事量も増大しました。この時代の最後に手掛けたのが大手ECサイト企業の案件で、プロジェクトシニアディレクターを任されました。
エンジニアとしては順調な歩みでしたが、そんなタイミングで生命にかかわる交通事故に巻き込まれ、1年間の寝たきり生活を余儀なくされました。生死の境をさまよったのち、社会復帰の場所として選んだのが現在勤務しているボールドです。
入社した2012年当時の社員数は約70名。それが現在は約700名。10年間ほどで10倍の社員数になりました。会社のそのような成長に自分も少なからず貢献できたと思います。
その10年間にボールドが企業として成長を加速するカギとなったのがERPパッケージの開発会社の案件でしたが、その責任者として成功を収められたことは私にとっても誇りです。
私はシステム開発に携わったのをきっかけに、いわゆるシステムエンジニアとしてIT業界でのキャリアをスタートしました。
以降、インフラ系のサーバーエンジニアとして働いた時期もありましたし、プロジェクトシニアディレクターとして案件を統括する際には、エンジニアが活躍する各分野について幅広く学びました。
開発系のプログラマーやアプリケーションエンジニア、インフラ系のネットワークエンジニアやサーバーエンジニア、データベースエンジニア、クラウドエンジニアなど多くのエンジニアと仕事を重ねることで、さまざまなエンジニアの役割や仕事の内容も詳しく把握しています。
そんな立場からいえるのは、すべてのITエンジニアの仕事の基盤を作るのはネットワークエンジニアであり、ネットワークエンジニアの技術や知見、経験はエンジニアのどの分野においても応用できる重要なものだということ。
たとえば、どんなに良いアプリケーションを作ってもネットワークがなければ機能しませんし、同じインフラ系でもサーバーエンジニアはネットワークの知見がなくては役割を果たせないからです。
そもそもITエンジニアの仕事とは何か。最大の仕事は、顧客がその利益の源泉とする商品やサービスを提供し続けられる状態を作り維持していくことです。企業がエンドユーザーに商品やサービスを提供するのにも、社内で情報を処理するにも通信ネットワークが欠かせません。
もちろんアプリケーションもサーバーも必要になりますが、それらはいわば単品であり、それぞれの単品をネットワークでつないで初めて全体が機能するようになります。
その全体を理解するにはどんなネットワークがあって、どういう経路で通信が行き交い、どのように情報が処理され流れていくのか、ネットワーク的な知識がないと全体が見えてきません。
またネットワークシステムを理解できないと、アプリケーションにしてもサーバーにしても何をどう作るのが正解なのかが見えません。だからネットワークが最重要で、ネットワークエンジニアが欠かせない存在なのです。
ネットワークエンジニアは重要なだけでなく安定した職種でもあります。IT技術に伴いネットワークも影響を受けますが、ネットワークシステムは世界的に標準化された規格に沿って基盤が作られているため、この基盤を変えるとすれば世界的な大変革、大事業になります。
近い将来にそのような大変革が起きることはほぼありません。つまりネットワークエンジニアの技術や知見が近々に廃れることはなく、廃れるとしても他分野のエンジニアより後になるでしょう。
もう一つ加えると、現在は社会全体のデジタル化が進むのに伴いサイバー攻撃のリスクが以前に比べて高まっています。それも民間のサイバー攻撃だけでなく国家単位で企むサイバー攻撃の脅威まで増大しており、セキュリティの制御は欠かせません。
だからこそネットワーク上のセキュリティ確保が最重要ということです。その意味でもネットワークエンジニアの存在は今後ますますクローズアップされ、重要性が高まっていくと思われます。
エンジニアを志す人の多くは、システムエンジニアやアプリケーションエンジニアなど、エンジニアの花形ともされる開発系エンジニアを目指すでしょう。しかしこれらのITエンジニアを目指す場合も、まずはネットワークエンジニアからキャリアを始めることをおすすめします。
先ほども説明したようにネットワークの知識はすべてのエンジニアの基礎知識として必要です。逆にいえばネットワークエンジニアの仕事に携わることは、他のエンジニアの基礎を実践を通して学べる機会にもなるのです。
つまりネットワークエンジニアとしてスタートすれば、多くのエンジニア分野の基礎を固めることができ、その後の選択肢を幅広く確保できるわけです。
またネットワークエンジニアは、基本的にテストや保守・運用といった分野の仕事から始め、経験を積んでから要件定義や設計といった上流工程の仕事へ進みます。つまり必ず運用を経験するわけですが、これが貴重な経験なのです。
運用とは障害対応や問題解決の仕事を指し、苦労も多いのですが、業界では「運用経験のない者の設計は使いづらい」といわれます。アプリ開発も同様で、運用の現場と現実を知っているのとそうでないのとではエンジニアとしての能力には雲泥の差があります。
それくらいエンジニアとして大切な経験を積めるのです。
ネットワークエンジニアになるのは他のエンジニアになるよりハードルが低いと説明されることもありますが、その通りでしょう。
ネットワークエンジニアを含めてITエンジニアの仕事はすべて、未知の技術を扱う仕事ではなく、先人が苦労して作り上げたパターンを活用するもので標準化された仕事だといえます。
とりわけネットワークエンジニアの世界では、最初の段階では誰が仕事をしても同じ結果が出るように詳細な手順書が用意されています。未経験者でも誰でも一定の訓練を受ければ仕事できる環境を用意できる点が「ハードルが低い」と表現される理由でしょう。
ただし手順書通りにすれば仕事ができるからといって、手順書に書かれている作業の意味や、自分が入力するコマンドの意味も知らずに、ただ機械的に作業を繰り返すだけでは成長は望めません。
仕事を効率的に回すのに必要なのが手順書であって、エンジニアとして生きていくならば、それとは別の次元で技術力を生かす努力が求められます。
ネットワークエンジニアの適性は、あえていえば人間力です。物事を利己的でなく利他的に考えることができ、まわりのために頑張れる人。
ネットワークシステムは多くの人と人が協力して作り上げるものである以上、技術力や知識だけでは仕事をうまく進められません。やはりコミュニケーション力を含めた人間力が一番大切な要素になります。
むしろ技術力は仕事を始めればいくらでも後からついてきます。初めのうちは先ほど説明したように手順書もあり、安心して仕事を開始できます。
そこから日々出くわす新たな事象や、エンジニア同士の会話に登場する用語を積極的に学習し、わからない点はどんどん先輩や上司に確認すること。
そうやってエンジニア用語に慣れ、エンジニアとしての会話が交わせるようになれば、仕事を重ねれば重ねるだけ技術力が向上します。そういう環境がある会社や、エンジニアの育成に力を入れている職場を見つけることさえできれば、エンジニアとして順調に成長できるはずです。
そういった会社を見つけるポイントの一つは、社内の勉強会がきちんと機能していること。具体的にいえば、勉強会には外部講師を招くのではなく、社員有志が自発的に講師を務め、勉強会が継続的に運営されていることです。
勉強会を開催している会社は少なくないのですが、社員が自発的に運営し、それが継続できている会社は意外に少数派です。逆にいま挙げた条件を満たした勉強会が続いている会社は、飛び込んでみる価値があります。
なぜならそんな会社には、一緒にエンジニアの仕事を喜んだり、エンジニアとして困ったり辛かったりしたときに頼れる先輩や、力を合わせられる仲間がいて、それを支える企業文化が存在するからです。勉強会はその証しといえます。
ちなみにボールドでは社員が講師を務める勉強会が日々開催されており、毎回多くの社員が参加しています。これは誇るべき企業文化だと考えています。
ネットワークエンジニアの入り口になるCCNAやITパスポート等の資格は重要です。先ほど説明したように技術力は後から付いてくるものですが、技術力を付けるために必要なのはエンジニアとして最低限の基礎や用語を知り、まずはエンジニア同士で会話ができることです。
その意味でCCNAなどの資格を取得することは、イコールその最低ラインをクリアしていることが証明することになるため重要です。
時代も資格を求めています。かつては、やれそうな人材、できそうな人材を雇用して結果を見るゆとりが企業にありましたが、いまはそのようなアバウトな時代ではなく人材を厳選する時代です。
入社させてから試すまでもなく、何をどこまでやれるか証明できる資格を示すように会社は求めますし、本人にとっては資格を示すことがスタートラインに立たせてもらうための最良の準備になります。
AIの進化は目覚ましく多くの仕事がAIに取って代わられる未来が見えています。しかしAIが代替できないのがAI自体やそれを支えるシステムを制御したり最終確認をする仕事です。その意味でIT業界は最後まで人間の仕事が残る業界でしょう。
つまりエンジニアの仕事はなくなることはないということ。もちろん想像もつかない変化が起きる時代ですから、予測が外れても不思議はありませんが、私はエンジニアの将来はまだまだ夢を描ける世界だと信じています。
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