CCNAの合格点は? 試験改定後の傾向や勉強方法を解説
2022.04.27
INTERVIEW 特別インタビュー
特別インタビュー
Yutaka Matsuda・1978年生まれ。沖縄のIT系専門学校を卒業後、上京してエンジニアとして2年間勤務。その後沖縄に戻りウェブ制作会社などを経て、父親が立ち上げたIT系企業に参画。7年間にわたりネットワークエンジニアとしてのキャリアを積み、2011年に独立・起業。代表取締役として、沖縄県北部地域を中心としたコンピュータ保守・構築・コンサルティングをおこなうトラストコミュニケーションを経営している
父親が大手企業でシステム開発の仕事に従事していたこともあって、家庭内にパソコン環境があり、小学生の頃からパソコンをいじって遊んでいました。
現在なら普通のことですが、幼少期を過ごした1980年代には一般家庭にパソコンがあるのはまだ珍しかった時代。この環境が私のエンジニアとしての素質を養ってくれたのかもしれません。
そんな環境で育ちIT系の専門学校に進みはしましたが、IT系の仕事にそれほど強い思い入れがあったわけではなく、エンジニアを目指す意志もそれほど強く持っていたわけではありませんでした。
専門学校の卒業後に東京のIT系企業にエンジニアとして就職しましたが、実態としては客先で端末を操作するオペレーター的な仕事が主体で、エンジニアという自覚は薄いまま。2年ほどその会社に在籍した後は沖縄に戻り、父の会社でシステム開発の仕事を手伝うようになりました。
大規模なネットワークプロジェクトに携わっていた父は人材確保で苦労したようです。当時は沖縄にエンジニアの人材が少なかったこともあり声がかかりました。私にとってはこれがネットワークエンジニアとしてのキャリアを踏み出すきっかけになったわけです。
父の会社に所属し働くことでネットワークエンジニアとしての基礎的な知識やスキルを身に付けることができました。そしてこの期間を通じて次第にネットワークエンジニアの魅力に目覚め、この仕事がどんどん好きになっていきました。
好きになった一番の理由は、自分が手掛けた仕事や作業の反応がすぐに返ってくることです。苦心して組み上げたものがどう動いてくれるかは誰しも心配なものでしょう。ネットワークの仕事ではその結果がすぐに出ます。
データやりとりのルールや物理的な回線が正しく設定されきちんと機能し、ネットワークに不具合がないようにするのがネットワークエンジニアの仕事ですが、それがうまくいった証しとなる、いわゆる「pingが飛ぶ(※)」状態を確認できたときは無性に嬉しくなります。
ネットワークはいまや社会の重要インフラですから、不具合を起こすわけにはいきません。正常に稼働していて当然と思われます。そのため、プレッシャーはかなり大きなものがあります。
ただし重圧が大きい分だけ仕事を成し遂げた際の喜びもひとしおです。同じような感想を持つ同業者は多いですね。一般的には達成感というのでしょうか。この達成感を原動力にネットワークエンジニアの仕事を続けている人は多いと思います。
※pingとは、サーバーからネットワークを通じてデータが送信されて返答されるまでの応答速度を確認する方法のこと。「pingが飛ぶ」とは、ネットワークがうまくつながっている状態を指す。
キャリアのターニングポイントはやはり独立・起業したタイミングですね。父が興した会社に7年間在籍し、そろそろ自分の力を試したくなったこともあって独立を決断しました。
会社といってもエンジニアは私1人だけのスタートでした。自分自身を顧客企業に派遣するような形で、独立したとはいえ現場でがむしゃらになって仕事するのは同じこと。ネットワーク作りや運営、保守などに全力で取り組む毎日でした。
そのような状態が6、7年は続きましたが、徐々にエンジニアの人数も増え、地元自治体との取引ができるなど手掛ける案件の規模も大きくなりました。ここ最近は経営者としての仕事の比重が高まり、ネットワークエンジニアとしての第一線の仕事からは引いています。
それでも新しい技術が出てくれば経営者としても知っておく必要がありますし、そうでなくても知らないことがあると知りたくなる性格です。最新の技術には興味が湧くし、仮に経営に関係なかったとしてもやはり勉強は続けていくと思います。
これもネットワークエンジニアの性なのでしょうね。このエンジニア気質がある限り成長し続けられると思います。
だからといって初めからエンジニア気質がある特殊な人しかネットワークエンジニアになれないわけではありません。
むしろ社会人として普通に通用する人であれば誰だってなれる。もちろんIT未経験者だって、なりたいという思いがあって努力する用意があればなることが可能です。
大学の理系出身だとかIT系専門学校を出ていなくてはネットワークエンジニアになれないわけではありません。最近ではネットワークエンジニアの世界で文系出身者や転職組が増えています。
当社にもリゾートホテルや小売業から転職してエンジニアになった社員がいますし、なかにはキーボードすらなじみがなくタイピングがまったくできなかったのに、現在はネットワークエンジニアとして活躍している者もいます。
技術は勉強すれば身につくもの。初めから技術力が必須だとは考えていません。むしろポジティブな姿勢ややる気といった人間としての力を採用に当たっては重要視しています。
もちろんCCNAなどといったネットワーク関連の資格があれば企業側としては採用の目安になりますし、即戦力がほしいのはどの会社も同じだと思います。しかし実際の仕事を通じてネットワークエンジニアの仕事を学んでもらうことも非常に重要です。
当社では新人をOJTで一人前に育てるのが人材育成の基本方針です。それが仕事を覚える近道で圧倒的に早いからです。
やはり実際の現場の緊張感のもとで責任を担って仕事を学ぶ方が、覚えは早いし身につきます。それはほかの仕事もネットワークエンジニアの仕事も同じことだと、改めて感じています。
誰だって目指せるネットワークエンジニアですが、持っていた方が望ましいのはコミュニケーション能力です。
エンジニアというと、一般的には開発やプログラム系の仕事がイメージされがちで、1日中キーボードと端末に向き合って仕事をしている姿を思い浮かべる人が多いでしょう。
確かに開発やプログラム系のエンジニアにはその傾向が当てはまるかも知れませんが、同じエンジニアでもネットワークエンジニアの働き方は、実は少し違っています。
たとえば顧客企業や団体の中でネットワークを構築するためには、常にユーザー側の意向を組んだり要望をヒアリングしたりしながら作業を進めることになります。
作業そのものも客先ですることが多くあります。つまり自社内にこもって社内の人間や機械を相手にする仕事ではなく、客先にも行くし打ち合わせもする。そのためネットワークエンジニアの仕事にはコミュニケーション能力が求められるのです。
同時に対外的なかかわりが増える分だけ、ときにはお酒や食事をともにしたりする機会も多くなり、相手から直接感謝の言葉をもらったり労いの言葉をかけてもらったり、周りの人たちから喜びをもらえる場面も多くなります。
ネットワークエンジニアの仕事は将来性が豊かであり、キャリアの未来を託す価値があります。これからネットワークを必要とする企業や団体が増えることはあっても、減少することがないことは、120%断言できます。
ネットワークはすでに電気、ガス、水道などと同様に社会の重要インフラです。電気、ガス、水道事業を滞りなく運営しメンテナンスする仕事がなくならないのと同じようにネットワークエンジニアの仕事がなくなることはありえません。
もちろん技術の進化によるパラダイムシフトが起こり得るので、常に勉強を怠らず学びながら自分を成長させ続けなければなりません。そういう意味では、将来性は豊かだが厳しい仕事とも言えるかもしれませんね。
変化は現在も起きています。これまでのように物理的に機械と機械を回線で物理的につないでネットワークを構築する仕事を業界用語でオンプレミスと表現します。
現在ではオンプレミスの仕事や作業に変わり、クラウド上で作業をしてネットワークを動かす仕事が増えつつあります。今後もこの傾向は強まるでしょう。
その意味ではネットワークエンジニアに求められる能力もクラウド寄りになっていきますが、オンプレミスで培った能力が意味を失うわけではありません。
現在の技術が新技術の登場でレガシー化したとしても、むしろ以前の技術を知っていることで、クラウド上のネットワークの動きをより良く理解できる側面もあります。
私はたまたまネットワークエンジニアからキャリアをスタートしましたが、幸運だったと思っています。
単調な仕事の繰り返しというより、新しい局面で力を試されることも多く、必要に迫られる形でクラウドを含むさまざまな知識や技術を身につけて成長していけるのがネットワークエンジニアです。振り返ってみるとエンジニアとして、とても良い入口からスタートできたと思います。
今後のキャリアについては、これまで以上に地域に貢献したいと思っていますし、いまの仕事を通じてそれができると考えています。
当社は沖縄県北部を中心としたコンピュータ保守、ネットワーク構築、コンサルティング事業を主体としており、自治体の顧客を数多く持っています。地域とのつながりのなかで仕事をしている面があるので、その恩返しの意味でも積極的に地元出身者を採用しています。
会社としては一昨年に10周年を迎えましたが、それを機に次の10年は感謝と恩返しをキーワードに、さらなる地域貢献をしようと決めました。そのために地元のICT教育推進校に指定された小学校に人型ロボットを寄贈してICT教育に貢献する取り組みもおこないました。
会社のミッションは「先見力+創造性をもって新たな価値を提供し地域社会へ貢献する」ことです。このミッションを、今後の自分のキャリアをかけて実現していきたいと思っています。
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