特別インタビュー

インフラエンジニアはヒーローにもなれる仕事|原因究明に挑む気持ちが成長を促す

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トリプルアイズ ES2部 副部長 高井結紀さん

Yuki Takai・2013年、キャリバンに新卒入社。某銀行のインフラ運用案件に参画し、インフラエンジニアとして経験を積む。 2017年にトリプルアイズへ入社し、複数の官公庁案件のインフラ構築や運用・保守に従事。2023年9月に副部長に就任し現職

「大規模障害に挑む醍醐味」を知りインフラエンジニアを志す

エンジニアになろうと思ったのは、シンプルにPCを触るのが好きだったからです。大学生の頃に興味を感じて、IT業界を志しました。

当時は具体的なキャリアがまったく見えていませんでしたが、「実力を身に付けて稼げるエンジニアになりたい」という思いはあったので、中小企業の方が自分に合っているだろうと判断しました。「中小企業の方がなんでもやらせてくれる分、実力がつくだろう」と考えたのです。

そして選んだのが、従業員数20〜30人くらいの規模だったキャリバンです。入社後はすぐに銀行系の大型運用案件に入らせてもらえることになりました。銀行のシステムは信頼性が第一で社会に与える影響も大きいので、新人にはかなり責任の重い仕事でしたが、その分だけ大きく成長させてもらえた実感があります。

その案件では仮想基盤やサーバーなど、インフラ領域の業務をひと通りすべて経験できました。金融業界はセキュリティの強化も必要不可欠なので、「どんどん新しい製品を導入したい」という顧客の方針にともない、システム更改にも頻繁に携わり、新しい技術にも次々と触れることができたのです。

特に印象に残っているのが、復旧に2ヶ月間も要した大規模な障害対応を経験したことです。1、2日程度で完了する小さな障害には定期的に対応していましたが、このときはシステム自体が完全に止まってしまったので大変でした。

顧客先から偉い人たちが続々と集まってきて現場が白熱し、さながらTVドラマのような緊張感のある場面にも出くわしました。

大変な状況に焦ったり、フリーズしてしまったりする人もいる中で、私は割と落ち着いて対応できた記憶があります。調べるのが好きだったので、コツコツと原因を調べてはチームに積極的に提案していました。提案によって一つの不具合が解決したときにはヒーローのようにもてはやされ、インフラエンジニアとしてのやりがいを実感したことを覚えています。

障害発生後、最初の1週間はある種の興奮状態と楽しさもあった気がしますね。2週目になると体力的なしんどさが勝るようになりましたが(笑)ともあれこの経験を経て、インフラエンジニアの道に進みたいと明確に思うようになりました。この点で、キャリアにおける最初のターニングポイントといえるかと思います。

高井さんのキャリアヒストリー

サーバーエンジニアを志して移ったトリプルアイズで「営業スキル」を獲得

入社1年目は運用や保守の仕事が中心でしたが、そこでの働きを評価いただき、翌年には同案件内のシステム構築案件に入るようになりました。3年目からはインフラ運用の副リーダーおよびインフラ構築担当を任せていただきました。

そして次なる転機が訪れたのは、入社から5年が経った頃です。お世話になっていた上長の誘いもあって、今勤めているトリプルアイズへ移ることにしました。1社目でも新しいことはいろいろとやれていたものの、徐々にパターンが見えてきて“やり尽くした感”を覚えるようになり、新しい環境に行ってみたいと思うようになったのが理由です。

2社目を選ぶにあたって軸にしていたのは「サーバー構築がやりたい」という点です。1社目での経験を経て「インフラ領域の中でも、自分はサーバーを触るのが好きだな」という自覚が芽生えたので、その経験ができそうな会社に注目しました。

当時は「サーバーエンジニア一筋でやっていこうか」くらいに考えていて、2社目に入社後は、早速サーバー構築に携われるプロジェクトにアサインしてもらえることになりました。

当社初となる顧客先に当時の副部長と2名体制で入ったのですが、上司に「この案件の拡大は任せたぞ!」と託され、次第に顧客とも密にコミュニケーションを取るようになりました。

人材の提案などの営業面もフォローできるようになり、その楽しさも実感するようになっていったのです。社内でも売上貢献に関する表彰をいただき、現在に至るまで、継続して社内上位の売り上げを出せるようになりました。

そして現在はセキュリティも担当していて、クラウド領域にも興味を持っています。サーバーエンジニアを目指そうと思って転職しましたが、思いがけず「技術」も「営業」も身に付き、スキルの幅を広げることになりました。

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インフラエンジニアは単独ではできない「コミュニケーション」の仕事

さらに3年ほど前からは現場のリーダーも任されるようになり、マネジメントの醍醐味を実感するようになりました。チーム全体の離職率が低くなったこともうれしく、年々任されるメンバーが増えていることで、自分でも「マネジメントは向いている」と思うようになりました。

これまで自分の上司がやってくれていたように、「メンバーが楽しく、快く働けるような環境を作りたい」「エンジニアの見本となる姿を見せたい」「メンバーに自分の経験や知識を共有して育成しそれを売上につなげていきたい」という思いが芽生えています。

誰かが仕事でつらい状況にあるのは絶対に良くないと考えているので、冗談を言ったり、雑談をしたりして、場を和ませることは特に大事にしています。できるだけ負担を分け合って、皆が楽しく働けるような環境づくりに努めています。

このような話をすると、私がコミュニケーション力に長けた人間のように感じる人もいるかと思いますが、もともとかなり人見知りなタイプです。しかしインフラ領域は単独でできる仕事がほぼないので、仕事で必要に駆られてコミュニケーション能力が鍛えられてきました。

障害対応の際には綿密な情報連携が必要で、顧客先への提案なども含め、コミュニケーションを取る機会は、書類を扱う事務職の人よりもはるかに多い気がしますね。人と話すのが得意ではなくても、「コミュニケーションを取ろうとする姿勢があるかどうか」は、インフラエンジニアの資質として必要不可欠なものだと思います。

高井さんからのメッセージ

インフラエンジニアに必要なのは「知的好奇心」や「チームワーク」 

コミュニケーションの姿勢に加えて、インフラエンジニアに向いていると思う人の要素は3つあります。

1つ目は「知的好奇心や探究心がある人」。障害対応などでは答えがない状態のまま、自力で調べ上げて原因の究明をしていかなければなりません。こうした状況に挑むのが好きで、自分で道を切り開けたことにやりがいを感じられるタイプの人には、おもしろい仕事だと思います。

成功しているインフラエンジニアは、特に探究心が強い印象がありますね。インフラはそれ単体で動かせるわけではないので、いざ問題などを調べ始めると、ほかの領域も複雑に絡み合っていることがわかってきます。

「自分の領域はここだけだから」と限定するのではなく、アプリケーションなど自分以外の領域のことにも知見を広げ、全体像を把握しよう、顧客の環境全体を理解しよう、という探究心があると、大きく成長できると思います。

2つ目は「新しいものに触るのが好きな人」。セキュリティやクラウド領域を思い浮かべるとわかりやすいかもしれませんが、インフラ領域も他領域に違わず、新しい技術がどんどん現れてきます。「顧客のニーズを満たすために、新しい技術に手を付けなければならない」という状況をプラスに捉えられる人、そこにおもしろみを見いだせる人には良い仕事ですね。

3つ目は「チームで一緒に問題を解決していく作業や過程が好きな人」。基本的にチームで取り組む仕事なので、皆でプロジェクトをやり遂げた瞬間の達成感などが好きな人にマッチすると思います。

ある程度の知識がないとチーム内での発言はしづらいと思うので、まずはいろいろと探究心を持って調べてみてください。そして、それを使って顧客やチームに提案をして、コミュニケーションを図っていく。自分が提案した内容が実装されるようになると、やりがいやモチベーションにもつながると思います。

ちなみに「社会貢献ができる仕事がしたい」という人にもインフラエンジニアは良い選択肢だと思いますね。私はこれまで銀行や官公庁のシステムやスマートフォンアプリなどを手がけてきましたが、「人々の身近な生活の基盤になるものに携われているのだな」ということをときどき実感しながら仕事をしています。

高井さんが考える「インフラエンジニア」に向いている人の特徴

入社前に興味を持てる領域に目星を付けてまずは3年やってみよう

学生時代のうちから、たとえば「システムエンジニアとしてどうなりたいか」といった将来のキャリアを明確にイメージできる人は多くはないはずです。仕事をやっていくうちに「この役割を任されることが多いということは、自分に向いているのだな」といった気づきも得られるので、焦る必要はありません。

ただし「自分はこの辺りの領域に興味がある」という目星だけは、キャリアのスタート時点で見定めておいた方が良いと思います。後から変わっても良いので、まずはどの領域にチャレンジしてみたいかくらいは考えておけるとベストです。

そして仕事を始めたら、3年くらいはその領域で頑張ってみてください。3年という目安は、実体験からです。

1年目はとにかく勉強という感じで、2年目は勉強したものをもとに実践して、3年目になってようやく技術が自分のものになり、自分なりの道を切り開けるようになりました。その領域のおもしろみがわかってくるまでは、ある程度の時間が必要なように思いますね。

これからインフラエンジニアを目指す人におすすめするとすれば、クラウドやAI(人工知能)の領域の勉強はしておいて損はないと思います。業務効率化やコスト削減のためにこの2つの技術を導入したいという顧客が増えているので、この領域がわかるようになっておくと武器になると思います。

今まで主流だった物理サーバーの領域については「経験しておくに越したことはないけど、必須ではない」というのが私の意見です。

物理サーバーを扱ったことがあるエンジニアはたくさんいますが、クラウドに強いエンジニアはまだまだ少ないので、若手はそちらのスキルを磨いた方が希少性が高まり、仕事もたくさん得られるだろうと思います。私自身も現在クラウドを勉強しており、AIの領域もこれからチャンスがあれば勉強したいと思っています。

高井さんからのメッセージ

人間関係のストレスは成長の障害になる。社内の雰囲気は必ず確かめて

インフラエンジニアとしてどんな会社を選ぶと良いかについては、いろいろな意見があると思いますが、個人的には「人」や「風通しの良さ」を重視することをおすすめします。

コミュニケーションが不可欠な仕事ということもありますが、社内の雰囲気が良くない会社は、学ぶ環境として適さないと思います。障害対応など業務にかかるストレスは多少仕方ないとしても、人間関係のストレスを抱えながら仕事をするのはもったいないと私は思いますね。時に殺伐とした現場も見てきたからこそ、社内の風通しが良く、意見が言いやすい環境の重要性を実感しています。

短期でも良いのでインターンシップに参加してみて「社員同士が仲良くやっているか」という点だけでもチェックしておくのがおすすめです。

また「いろいろな案件にかかわってみたい」という思いがある人は、入社前にその会社が持っている案件量や幅を確認しておくとベターかもしれません。

私は一度転職をしましたが、必ずしも転職をしなければ技術力を磨けないわけではありません。同じ会社に所属していても企業によってはいろいろな顧客の案件を経験できますし、同じ顧客の案件だとしても、多岐にわたる領域を担当させてもらって経験値を広げることは可能です。

会社選びで見るべきポイント

課題に挑む気持ちは大切にしつつ「周囲に頼る姿勢」も心掛けよう

最後に、今だからいえる話ですが、社会人1年目の半ばには「仕事を辞めようか」と悩んだこともあります。尊敬できる先輩に相談してみたところ、「今やっていることが将来活かされるから、もうちょっと頑張ってみたら」とアドバイスをくれました。

そして今では、その言葉は本当だったなと思えています。わからないことを調べる力、チームが緊張感を帯びているときの対応や雰囲気をほぐす力など、すべての経験は今につながっているなと実感します。

これからエンジニアになる人も何かしらの壁にぶつかることもあると思いますが、一生懸命に仕事をしている先輩であれば、若い頃に同じような経験をしている可能性が高いので、気軽に相談してみてください。会社に入ったら、早めに「この人には相談できそう、相談してみたい」と思える先輩を一人でも見つけておくと良いと思います。

チームの新人メンバーにも「とにかく報連相を大事にして、ひとりで溜め込まないで」ということを常に伝えていますが、仕事でも「周りの人に気軽に聞いてみる」という姿勢を早いうちに身に付けておくと良いと思います。

技術の習得に関しても、あまり心配することはありません。サーバーやネットワークなどは普通に生きていて触るものではないので、仕事をしながらゼロから身に付けていけば十分です。私もそうしてきた人間ですし、真面目に仕事をしていれば、技術は後からいくらでも身に付けられるということは、これからエンジニアになる人に伝えられるメッセージです。

ただし成長したければ、ゲーム感覚でも構わないので、課題に挑んでいく気持ちは持っておくと良い気がします。

私の場合、新人の頃はとにかく一緒に仕事をしている上司のやり方を見よう見まねでやってみることを心掛けていました。活躍している優秀な上司に付かせてもらえたことも幸運でした。自分で調べて解決する力は仕事をしていくなかで身に付きましたが、スキルがない頃でも「とにかくこの問題を解決するぞ!」という気持ちだけはあったように思います。

大藤さんと描くネットワークエンジニアの未来

取材・執筆:外山ゆひら

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